2021/01/11 17:46
前回の記事でケロシンランタンがキャンプに灯りの非日常をもたらす最適なランタンであることをご紹介させていただきました。
前回記事はこちら。
プレッシャーケロシンランタンを知ろう vol.1 キャンプに最適なランタン
今回はプレッシャーケロシンランタン(加圧式灯油ランタン。以下ケロシンランタン)のパーツ類をご紹介します。ケロシンランタンと言っても私が扱う Vapalux / BialaddinやTILLEY以外にもPetromax系統やPrimus / Optimus、Colemanの一部など多岐に渡りますが、ここではVapalux M320を使ってご紹介します。
前回記事はこちら。
プレッシャーケロシンランタンを知ろう vol.1 キャンプに最適なランタン
今回はプレッシャーケロシンランタン(加圧式灯油ランタン。以下ケロシンランタン)のパーツ類をご紹介します。ケロシンランタンと言っても私が扱う Vapalux / BialaddinやTILLEY以外にもPetromax系統やPrimus / Optimus、Colemanの一部など多岐に渡りますが、ここではVapalux M320を使ってご紹介します。
と、その前に。
ケロシンランタンやガソリンランタン、ハリケーンランタンなどの液体燃料系ランタンは、燃料そのものが液体のまま直接燃えているわけではありません。必ず『気化(ガス化)』というプロセスを経てその気化した燃料が燃えています。
詳細は『炎上』をご紹介する際にまとめますが、この『気化』というプロセスがあることを覚えておきましょう。
プレッシャーケロシンランタンの構造
プレッシャーケロシンランタンの構造は、主に3つのシステムから成り立っています。
タンクには「燃料を入れる容器」としての機能と、「燃料に加圧して噴出させる」機能の、2つの機能があります。
◆タンク
燃料を貯める貯蔵部分です。海外では「BASE(土台)」や「FOUNT(噴水)」と呼ばれることもありますが、違うパーツを指しているのではなく表現が違うだけです。
◆気化・燃焼部
タンクで圧された灯油をランタン上部に送りながら、気化を促進させる機能を持っています。
◆フード部
『フード』または『ベンチレータ』とも呼ばれる、ランタンTOPにある帽子部分のことを指しますが、単なる帽子ではありません。「空気を取り込む」という大事な機能を持っています。
各部にあるパーツのご紹介
前述で3つのセクションに分けましたが、ここからはそれぞれのセクションにある細かなパーツをご説明します。
◆タンク部
・タンク:燃料を貯める機能。
・給油口キャップ:タンクの蓋。
・エアリリースキャップ:タンクに溜まった圧力を抜く機能。
・エアリリースキャップ:タンクに溜まった圧力を抜く機能。
・ポンプアッシー:燃料に空気を送り込む機能。『PLUNGER(プランジャー)』とも言う。
・チェックバルブ:燃料の逆流を防ぐ機能。『ポンプバルブ』『ノンリターン・バルブ(NRV)』とも言う。
・チェックバルブ:燃料の逆流を防ぐ機能。『ポンプバルブ』『ノンリターン・バルブ(NRV)』とも言う。
タンクには「燃料を入れる容器」としての機能と、「燃料に加圧して噴出させる」機能の、2つの機能があります。
Vapalux ./ Bialaddinのタンクにはおおよそ1リットルの灯油を入れられますが、投入された灯油量が少なすぎると加圧に時間がかかりますし、満タンに入れてしまうと空気の入る隙間がなくなり加圧ができなくなりますので大体7割程度が目安になります。
Vapalux / Bialaddinのタンクはおおよそ7割程度の位置に給油口がありそれ以上入れようとするとこぼれてしまうので、こぼれない程度に入れれば問題ありません。
給油口キャップの上には『エアリリース・キャップ』というキャップが親子亀のように乗っかっています。タンクに残った圧力を逃がすキャップです。使い終わった際にこれを開放すると圧力が抜けて自然消火します。
タンクに刺さっているポンプを引き抜くと先端に皮のカップの付いた、空気を押し込むロッドがでてきます。見た目の通りタンクに空気を押し込む『ポンプアッシー』というパーツです。一見してはずせるパーツはこれだけに見えますが、実は内部にもう1つあります。
タンクに空気を押し込んでも灯油が逆流しないようにしている『逆流防止弁(チェックバルブ)』というパーツです。逆流を防止することから『NON RETURN VALVE(ノンリターンバルブ、NRV)』と呼ばれます。パーツ全体がボルトのような形状のパーツでそのままタンク内部にネジ付けされていますが、長い柄のマイナスドライバーではずせます。
とても小さなパーツですが、これをさらに分解すると内部に小さなバネと金具、金具の中に米粒大のゴムワッシャーが入っています。普段はこの金具がバルブに空いた小さな穴の壁になっていますが、空気を押し込むとバネが押されて金具の位置がずれ小さな穴から空気が送り込まれ、プランジャーに押された空気がなくなればバネが戻りまた金具が壁になる、こういう動きをして灯油の逆流を防いでいます。
◆気化・燃焼部
・ジェットクリーナー:灯油を吸い上げる機能。『コントロールコック』とも言う。
・VAPORIZER:灯油を気化させる機能。『GENERATOR』とも言う。
Vapalux / Bialaddinのタンクはおおよそ7割程度の位置に給油口がありそれ以上入れようとするとこぼれてしまうので、こぼれない程度に入れれば問題ありません。
給油口キャップの上には『エアリリース・キャップ』というキャップが親子亀のように乗っかっています。タンクに残った圧力を逃がすキャップです。使い終わった際にこれを開放すると圧力が抜けて自然消火します。
タンクに刺さっているポンプを引き抜くと先端に皮のカップの付いた、空気を押し込むロッドがでてきます。見た目の通りタンクに空気を押し込む『ポンプアッシー』というパーツです。一見してはずせるパーツはこれだけに見えますが、実は内部にもう1つあります。
タンクに空気を押し込んでも灯油が逆流しないようにしている『逆流防止弁(チェックバルブ)』というパーツです。逆流を防止することから『NON RETURN VALVE(ノンリターンバルブ、NRV)』と呼ばれます。パーツ全体がボルトのような形状のパーツでそのままタンク内部にネジ付けされていますが、長い柄のマイナスドライバーではずせます。
とても小さなパーツですが、これをさらに分解すると内部に小さなバネと金具、金具の中に米粒大のゴムワッシャーが入っています。普段はこの金具がバルブに空いた小さな穴の壁になっていますが、空気を押し込むとバネが押されて金具の位置がずれ小さな穴から空気が送り込まれ、プランジャーに押された空気がなくなればバネが戻りまた金具が壁になる、こういう動きをして灯油の逆流を防いでいます。
◆気化・燃焼部
・ジェットクリーナー:灯油を吸い上げる機能。『コントロールコック』とも言う。
・VAPORIZER:灯油を気化させる機能。『GENERATOR』とも言う。
・プレヒーターカップ:アルコールを入れて燃焼させ、ヴァポライザーを温める機能。灯油燃料特有の、灯火に不可欠な機能。
・ノブ:ジェットクリーナーから吸い上げられる燃料を調整する機能。
ジェットクリーナーから伸びるノズルを伝って上がってきた灯油を、『VAPORIZER(ヴァポライザー)』または『GENERATOR(ジェネレータ)』と呼ばれるパーツ内部のさらに細い通路を通りながら温められ、ヴァポライザー上部から気化灯油が噴出されます。
灯油はガソリンに比べて引火温度が高く、ある程度高温でないと気化しません。気化温度は最低でも40℃以上。つまり普通の気温ではほぼ気化しません。
そういうわけで灯油を気化させるためには温めなければならず、これを『プレヒート』と呼びます。気化温度の低いガソリンにはない、灯油燃料特有のプロセスです。プレヒートの時間は外気温次第で、夏場は短めでも問題ないですが冬場はそこそこ長くやらないと気化温度に到達しません。灯油ランタンで「炎上」が多いのはこの気化不全によるものが90%以上と言っていいでしょう。前述のとおりの理由のため冬場に起こりやすい傾向にあります。
それくらい燃えづらいのが灯油です。逆に安全とも言えます。このあたりはまた『炎上』を解説する投稿でご説明します。
灯油はガソリンに比べて引火温度が高く、ある程度高温でないと気化しません。気化温度は最低でも40℃以上。つまり普通の気温ではほぼ気化しません。
そういうわけで灯油を気化させるためには温めなければならず、これを『プレヒート』と呼びます。気化温度の低いガソリンにはない、灯油燃料特有のプロセスです。プレヒートの時間は外気温次第で、夏場は短めでも問題ないですが冬場はそこそこ長くやらないと気化温度に到達しません。灯油ランタンで「炎上」が多いのはこの気化不全によるものが90%以上と言っていいでしょう。前述のとおりの理由のため冬場に起こりやすい傾向にあります。
それくらい燃えづらいのが灯油です。逆に安全とも言えます。このあたりはまた『炎上』を解説する投稿でご説明します。
◆フード(ベンチレータ)部
・エアボタン:空気を送り込む機能。
・バーナー:気化灯油と空気を混ぜてガス化させ、そのガスを噴出する機能。
・マントルサポート:ヴァポライザーとバーナーを接続するパーツ。マントルの取付け箇所でもあるのでこう呼ばれる。
どれだけ灯油が気化しようが空気がなければ燃焼しません。気化した灯油は空気と混ざることでガス化するのでどうにかしてヴァポライザーから噴出する気化灯油に空気を混ぜる必要があります。その機能を果たしているのが、フードです。Vapalux / Bialaddin ではエアボタンというパーツがフードに露出していて外見からもわかりやすいですね。3つあるエアボタンから空気を内部に取り込みます。
取り込まれた空気はバーナーヘッド部でヴァポライザーから噴出された気化灯油と混ざりガス化します。これがマントルに向かって放出され、マントル付近に火があれば引火して燃焼を開始。その炎がマントルにあたり発光するわけです。
以上がパーツのご紹介です。
細かく分けるともう少し分解できるのですが、これらのパーツはおおよそこの分類で販売されていますので、この程度を把握できていれば問題ありません。
Vapalux / Bialaddinの特筆すべきところは、パーツが効率的に簡素化されていて少なく、且つこれらのパーツはほぼ全モデルで共通であることです。
今回の紹介で使用したM320以外に、315、310、305(M1)、300X、E41などのラインナップがありますが、70〜80年ほど前の開発初期のE41、300を除いてパーツは共通です。複数台のランタンを使っていても、パーツの予備は1セット持っていればいいですし、メンテナンスするにもほぼ同じ手順なので1つに慣れればどれでも扱えるようになるのが大きな利点です。
つまりVapalux /BialaddinやTILLEYなどのイングランド製ランタンなら『自分に扱えるか?(メンテナンスに自信がない)』問題の大部分を解消してくれます。
イングランド製ランタンが初心者にも扱いやすいとされる所以です。
取り込まれた空気はバーナーヘッド部でヴァポライザーから噴出された気化灯油と混ざりガス化します。これがマントルに向かって放出され、マントル付近に火があれば引火して燃焼を開始。その炎がマントルにあたり発光するわけです。
以上がパーツのご紹介です。
細かく分けるともう少し分解できるのですが、これらのパーツはおおよそこの分類で販売されていますので、この程度を把握できていれば問題ありません。
Vapalux / Bialaddinの特筆すべきところは、パーツが効率的に簡素化されていて少なく、且つこれらのパーツはほぼ全モデルで共通であることです。
今回の紹介で使用したM320以外に、315、310、305(M1)、300X、E41などのラインナップがありますが、70〜80年ほど前の開発初期のE41、300を除いてパーツは共通です。複数台のランタンを使っていても、パーツの予備は1セット持っていればいいですし、メンテナンスするにもほぼ同じ手順なので1つに慣れればどれでも扱えるようになるのが大きな利点です。
つまりVapalux /BialaddinやTILLEYなどのイングランド製ランタンなら『自分に扱えるか?(メンテナンスに自信がない)』問題の大部分を解消してくれます。
イングランド製ランタンが初心者にも扱いやすいとされる所以です。
最後に再度全体像で、それぞれのパーツの位置を紹介しますね。
一部見えていないパーツがありますので書き切れていませんが、おおよそこれまで記載した通りの位置にあります。
次回の投稿では『炎上』を掘り下げます。ようやく実際のトラブルの説明に入れる。。。
次回の投稿では『炎上』を掘り下げます。ようやく実際のトラブルの説明に入れる。。。