2021/09/20 00:38
当店で販売しているようなケロシンランタンは、構造が単純なことから、メンテナンスをしながら永く使い続けることができるのですが、そうするといずれ「メンテナンス」が必要になるということになります。
自慢じゃないですが私も相当のメカ音痴・手先不器用でして、特段小さい頃から機械イジリが好きだったとかそういう背景があるわけでもなく、こうしてヴィンテージランタンを販売できていることは奇跡に近いわけですが、「好きこそ物の上手なれ」ということなんでしょう。
別に上手ではありませんけどね。好きが嵩じて何百回もやってれば、それなりにはできるようになります。
とはいえほとんどの方にとってケロシンランタンはあくまで「キャンプのお供」であり、メインはキャンプ、好きなのはキャンプ。ケロシンランタンはあくまでサブアイテムです。
数多あるキャンプのお供グッズのお手入れもあるなかで、ランタンのみに特化した知識を身につけよ、というのはいかにも酷な話ですよね。
ということでケロシンランタン、ここではVAPALUXのメンテナンス方法をまとめておきたいと思います。
メンテナンス系はyoutubeにたくさん動画が上がっていると思いますので、全体の流れをざっと知りたい場合はそちらのほうがわかりやすいと思います。
ということでケロシンランタン、ここではVAPALUXのメンテナンス方法をまとめておきたいと思います。
メンテナンス系はyoutubeにたくさん動画が上がっていると思いますので、全体の流れをざっと知りたい場合はそちらのほうがわかりやすいと思います。
ただ、動画はメンテナンス中に確認しながら見るのには向いていない(流れてっちゃう)ので、メンテ時に見ながらやるにはこうしてテキストで起こされたものがあると便利かなと思いまして、動画は他の方のyoutubeに任せて、私はテキストでいきます。
・・・動画が苦手なだけです。
またいつものとおり前置きが長くなりましたが、ではメンテナンスを始めてみましょう。
と、その前に少し宣伝。
VAPALUX M320、M1、Bialaddin 320、315、310、305(民間用)のワッシャーセットはこちら。
VAPALUX E41、300、300X、Bialaddin 300X、305(軍用)のワッシャーセットはこちら。
違いは給油口キャップのサイズ違いによるワッシャーのサイズ違いです。
なお、私は現行の韓国製VAPALUXを触ったことがないので、現行のE41や300のキャップ仕様がわかりません。ここだけご自身でご確認ください。
メンテナンスといってもケロシンランタンのメンテとはほとんどはワッシャー交換です。特にVAPALUXはパーツ自体が故障してしまうようなことは少ないため、それさえ怠らなければ本当に永く使い続けることができます。
手順は、「バラす」「古いワッシャーをはずす」「新しいワッシャーをはめる」「戻す」の4手。
呆れるほど簡単です。私にもできるわけだ。
呆れるほど簡単です。私にもできるわけだ。
ただ、ところどころ注意点があるので、そのあたりを踏まえながら説明していきます。
■バラす-1(ベンチレータをはずす)
まずベンチレータ(フード)を外しましょう。これをはずすことで中にアクセスできるようになります。外し方は至って簡単。ベイル(ハンドル)を止めている左右のネジを外して上に引っ張るだけです。
普段マントルを取り付ける際に開閉していると思いますので、ここはこの程度に。
メンテナンスついでにバーナーの掃除もしたければ、3箇所あるエアボタンを外すとバーナーもはずれます。
メンテナンスついでにバーナーの掃除もしたければ、3箇所あるエアボタンを外すとバーナーもはずれます。
■バラす-2(グローブとプレヒーターカップをはずす)
グローブをはずして、ヴァポライザーに刺さっているプレヒーターカップを抜き取ります。これも簡単ですのでこの程度。
■バラす-3(ヴァポライザーをはずす)
ヴァポライザーはその下のコックにネジ込んであるので、反時計回りに回しながら抜くことになるのですが、キツくて手でははずしづらい場合があります。特に女性だと手が痛くなっちゃうかもしれないし手入れして育てた爪を痛めるかもしれないので、そんなときは迷わずプライヤーを使いましょう。
プライヤーの先端にマスキングテープを巻くなど、傷付き防止措置を忘れずに。布をあてるだけでもOKです。
ヴァポライザーの中にはニードルとスプリングが入っています。大体煤がこびりついているので、分解の際に掃除してあげるときっとランタンも喜んでくれるでしょう。
ヴァポライザーの中にはニードルとスプリングが入っています。大体煤がこびりついているので、分解の際に掃除してあげるときっとランタンも喜んでくれるでしょう。
■バラす-4(ノブをはずす)
コックをはずしたいところですが、ノブが邪魔して回りませんので、先にノブをはずします。
ノブは細いボルトで止められているのでこれをはずすのですが、溝切りも細いため、先端が細いマイナスドライバーが必要です。それほど力を必要としないボルトなので、VICTORINOXやLEATHERMANなどのマルチツールに付いているドライバーでOKです。
ノブは細いボルトで止められているのでこれをはずすのですが、溝切りも細いため、先端が細いマイナスドライバーが必要です。それほど力を必要としないボルトなので、VICTORINOXやLEATHERMANなどのマルチツールに付いているドライバーでOKです。
ボルトにドライバーを当てて回す際は、必ず下に手を添えましょう。回しているうちにドライバーが滑るとタンクに傷をつけてしまうことがあります。(経験者談)
■バラす-5(コントロール・コックをはずす)
コック(ジェットクリーナー)はタンクにネジ込んであるので、これも反時計回りに回しながら抜きます。これもキツくなってたら迷わずプライヤーで。
プライヤーを使う際は少し慎重に。タンクとの距離が近いので、無理をすると手が滑ってタンクに傷をつけてしまうことがあります。(経験者談)
■バラす-6(グランドナットをはずす)
ノブが取り付けてあるスピンドル(棒)の付け根にある、グランドナットをはずします。スピンドルはニードルを上下させるためのパーツで、コックの中に刺さっていますのでそのままだと燃料が漏れるわけですが、このナットとその中にあるワッシャーで押さえることでそれを防いでいます。
これも反時計回りに回すのですが、キツくなってたら迷わずプライヤーで緩めましょう。
これも反時計回りに回すのですが、キツくなってたら迷わずプライヤーで緩めましょう。
■バラす-7(フレームナットをはずす)
ワッシャー交換だけならフレームをはずす必要はありませんが、ついでに。
M320のフレームはこの大きなナット1つで取り付けられていますので、これをはずせばフレームが分離します。このナットはかなりキツく締まっていることが多いので迷わずプライヤーで。プライヤーの口を大きく開けてから回しましょう。
M320のフレームはこの大きなナット1つで取り付けられていますので、これをはずせばフレームが分離します。このナットはかなりキツく締まっていることが多いので迷わずプライヤーで。プライヤーの口を大きく開けてから回しましょう。
■バラす-8(ポンプアッシーをはずし、ポンプキットを分解する)
ポンプキャップを外して、ポンプアッシーを引き抜きます。このキャップがかなりタイトで手では回せない場合も多いので、ここでもプライヤーを使いましょう。
ポンプアッシーを引き抜いたらポンプ先端のポンプレザーを留めている6角ナットを外します。
マイナス溝が彫られているものもありますが、ドライバーではずすよりラジオペンチで摘んではずすほうがはずしやすいです。
ロッドをプライヤーなどで挟んで持ち、右手でラジオペンチでナットを持って緩めましょう。
ナットをはずすと小さくて薄い金属ワッシャーも出てくるので無くさないように。たまになくしちゃってる個体もありますが、ホームセンターに売ってるモノで代用が利きますのでご心配なく。
ポンプレザーをはずすと、ブラス製の台座がはずれ、ポンプ用バネとポンプキャップがはずれます。これでポンプアッシーの分解完了。
■バラす-9(NRVをはずして、分解する)
ポンプアッシーが刺さっていた穴の奥をよく見ると、マイナス溝が切ってあるパーツが見えると思います。これがNRV(ノンリターン・バルブ)。
VAPALUXのNRVは、はずすのに専用の工具が必要な北欧系と違って、マイナスドライバーではずせるのがいいですね。
奥に見えるマイナス溝の角度に合わせて柄の長いマイナスドライバーを突っ込み、グリっと反時計周りに回すと緩みますので、そのまま回し続けて「カラカラ」と音がし始めたらタンクを傾けてゆすってあげると落ちてきます。
上が組み立てたNRVで下が分解したNRVです。
VAPALUXのNRVは、はずすのに専用の工具が必要な北欧系と違って、マイナスドライバーではずせるのがいいですね。
奥に見えるマイナス溝の角度に合わせて柄の長いマイナスドライバーを突っ込み、グリっと反時計周りに回すと緩みますので、そのまま回し続けて「カラカラ」と音がし始めたらタンクを傾けてゆすってあげると落ちてきます。
上が組み立てたNRVで下が分解したNRVです。
NRVを構成している真ん中のパーツにはゴムワッシャーが付いているので、NRV自体を分解します。
ポンプをバラしたときの容量で、左手と右手にプライヤーを持ってNRVを挟み、NRVのヘッドを並行に回して緩めます。これが意外と厄介で、ちゃんと並行に力をいれないと緩みません。
どうしても緩まない場合は、無理をせずNRVごと買い換えることをお勧めします。
外せたら3つのパーツに分かれますが、バネのついたパーツの先端に小さな米粒のようなゴムワッシャーが入っています。小さいくせに加圧を左右するくらい重要なワッシャーです。コイツが硬化すると加圧がうまくいかなくなったり燃料が逆流してきたりします。
■バラす-10(給油口キャップをはずしてエアリリースキャップと分離させる)
給油口キャップは燃料を入れる際に開け閉めしていると思いますので特に説明しませんが、エアリリースキャップの紛失防止で取り付けてあるピンをはずしてエアリリースキャップと分離させます。
ピンは細いラジオペンチで伸ばしてあげるとはずしやすいですが、経年劣化で折れてしまう場合もありますので、当店ではワッシャーセットに予備を付けてあります。まあなくても使用に支障はないのでそのまま使ってもOKなんですが。
バラす工程はここまでです。
続いてワッシャー交換工程ですが、ちょっと長くなってしまったので次の記事に続きます。
ポンプをバラしたときの容量で、左手と右手にプライヤーを持ってNRVを挟み、NRVのヘッドを並行に回して緩めます。これが意外と厄介で、ちゃんと並行に力をいれないと緩みません。
どうしても緩まない場合は、無理をせずNRVごと買い換えることをお勧めします。
外せたら3つのパーツに分かれますが、バネのついたパーツの先端に小さな米粒のようなゴムワッシャーが入っています。小さいくせに加圧を左右するくらい重要なワッシャーです。コイツが硬化すると加圧がうまくいかなくなったり燃料が逆流してきたりします。
■バラす-10(給油口キャップをはずしてエアリリースキャップと分離させる)
給油口キャップは燃料を入れる際に開け閉めしていると思いますので特に説明しませんが、エアリリースキャップの紛失防止で取り付けてあるピンをはずしてエアリリースキャップと分離させます。
ピンは細いラジオペンチで伸ばしてあげるとはずしやすいですが、経年劣化で折れてしまう場合もありますので、当店ではワッシャーセットに予備を付けてあります。まあなくても使用に支障はないのでそのまま使ってもOKなんですが。
バラす工程はここまでです。
続いてワッシャー交換工程ですが、ちょっと長くなってしまったので次の記事に続きます。